ベンダ ビリリ! ~もう一つのキンシャサの奇跡2010/09/24 22:26

ビッグ・イシューで「スタッフ・ベンダ・ビリリ」のことを知り、

彼らの映画がどうしても観たくて、仕事の合間をぬって行ってきました。

http://bendabilili.jp/movie/

 

その後彼らは来日して、いま日本にいます!

(ホームページによると、テレビに出演したりもしたようです)

http://d.hatena.ne.jp/bendabilili/

 


スタッフ・ベンダ・ビリリというのは、

コンゴの首都キンシャサに住む、路上音楽集団です。

グループ名は、現地の言葉で「外見をはぎとれ!(精神を見よ)」 という意味だそうです。

メンバー8人のうちの5人は、ポリオの後遺症から足が不自由で、

自転車を手こぎに改造したような車いすに乗っていたり、杖を頼りに歩いていたります。

 

身近な経験から出てきた素直な言葉による歌詞と、

無条件で身体に働きかけてくるような音楽がとても素敵で、

すっかりファンになってしまいました。

語っている言葉がそのまますっと歌になっていくような、

それでいて見事に美しい、

あの音楽性は何なのでしょう。

素晴らしいリズム感や音感は、天性のものなのでしょうか。

それともやはり、練習のたまものなのでしょうか。

 

とても厳しい生活の中、

(手作りなど、工夫して楽器を手に入れて!)

自分たちでバンドを組み、

近所の無料動物園に集まって練習をしていた、ということそのものが、

ものすごいことだと思います。

彼らがとても前向きで明るいのは、

音楽に関わることが自分のアイデンティティとなって、

生きる支え、命の糧になっているからでしょうか。

 

たまたまやってきたフランス人の映像作家に見出され、

レコードデビューの話が持ち上がったのですが、

彼らの生活状況の過酷さから、レコーディングには4年もかかったそうです。

昨年、とうとうメジャーデビューを果たして成功し、

フランスをはじめ、ヨーロッパツアーを行ったところまでが映画になっていました。

映画の作りは「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」に似ていて、

最下層から一躍、世界の檜舞台へ、という流れも同じなのですが、

少し荒削りで、その分、生なリアル感が出ています。

 

 

14歳でメンバーに加わった少年(今はもう、青年になっていますが)は、

7歳の時に、空き缶と木切れにギターの弦を1本張って自分で楽器を創ったそうで、

ずっとそれを演奏しています。

非常に素朴な作りの楽器で、あんなに豊かないい音が出せるということ、

それを自分で創って奏でている、創造性や音楽性に驚いたのはもちろんですが、

なによりも、彼の澄んだ瞳が忘れられません。

 

突然の成功で、若くして環境の激変を経験した彼が、

これからも、自分を見失わずに、

澄んだ瞳のままずっと生きて行ってくれることを願っています。

あんなに過酷な状況のなかでも、自分をしっかり持ってここまできた彼ですから、

きっと、大丈夫でしょう。

 

スタッフ・ベンダ・ビリリは、これから日本全国を回ります。

ヨーロッパツアーで磨きのかかった彼らの演奏は、

映画やCDのときよりもさらにパワーアップしているそうです。

ぜひ、生で触れたいと思っています。

http://bendabilili.jp/concert.html

 



コメント

_ 初歩太 ― 2010/09/25 18:16

この映画は僕も少し注目していました。イメージフォーラムで『シルビアのいる街で』を見た際予告編を見たのですが、AZさんと同じく『ブエナビスタ』を連想しました。オリヴェイラ監督の新作『ブロンド少女は過激に美しく』(すごい題名だなあ)も行かなくてはいけないしなあ。

_ Az ― 2010/09/26 07:54

イメージフォラムって初めて行ったのですが、
(映画初心者です。。。)
あそこは面白いものをやっていますね。

予告編を観ていきなり泣きそうになり、
(全然泣くような内容ではないのに、なぜか)
絶対行かなくちゃ!
と思った映画がありました。
ハーブ&ドロシー といって、
自分たちの手の届く範囲(大きさもお値段も)で
現代の美術品をコツコツと買い集めた、
ごく普通の市民のドキュメンタリーです。
とってもかわいい老夫婦で、
その徹底した「自分たちらしさを大切にする姿勢」が素敵でした。

先日行った「シャガール展」(これもとってもよかった!)で、
彼の伝記映画みたいなものをやっていて、
とても面白かったのですが、
ちょっとそれも思い出しました。

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_ ペガサス・ブログ版 - 2010/10/14 22:57

先週土曜の朝,カーラジオからNHK-FMのピーター・バラカンの番組が流れていた.アフロ・ポップのサウンドが流れるので,この番組では珍しいな,と思ったが,このバンドが福岡でまもなくコンサートをするという.私が知らないだけかもしれなが,福岡でアフロ・ポップが聞けるのは滅多にないと思って,早速ネットでチケットを予約した.それで昨日がそのコンサートだった.バンドの名前はベンダ・ビリリ,コンゴの首都キンシャサのストリートで演奏していたのを「発見」され,ヨーロッパでデビューしたらしい.  →コンサート日程 会場の「アクロス」の大きなコンサートホールの席は結構埋まっていて,福岡にもこれだけアフロ音楽の愛好者がいたのかと感心した.応援のクリック歓迎 あの独特のアフロサウンドとリズム,そして黒人独特のヴォーカルがホールに充満する.ロック同様,アフロ音楽も身体中の筋肉と骨を共鳴させながら,いわば体で聴くものだ.どうしても体が揺れる.隣に座っている若い女性はいかにも気持ちよく体をスイングさせながら聴いている.でもほとんどの人は行儀良く不動の姿勢.それで自分もあまり目立たないようにと,控えめにするが,これはややストレスだ.でも隣の女性はすでに席を立って通路で踊っている. そのうち,最前列に座った一人が立ち上がって激しくダンスを始める.そして後ろを振り返って観客に「一緒に!」と促す.そうすると前の方から徐々に皆が立ち上がって,体をスイングさせる.その波がほとんど私の席まで届こうとするとき,私も立ち上がって,晴れて気兼ねなく体を動かせることになった. なお,このバンドの日本ツアーは16日の長野と,17日の東京・三鷹の2日を残すだけになっています. ---------- この日の記事としては,やはりチリ鉱山労働者全員救出のお祝いを書いておかなければなりません.テレビに映った人だけでなく,このすばらしい作戦を練り上げた人,「フェニックス」を設計し,作った人,などなど.チリワインも買いましょう.