不器用ですが・・・ (梓)2009/10/05 14:05

実は、針を持って、
チクチクとやっている時間が好きです。

なぜ「実は」かというと、
「自分は針仕事が苦手で、好きでない」と、
長いこと思い込んでいたからです。

振り返ってみると、そう思い込んだきっかけはどうも、
小学校の家庭科の時間にあるようです。
はじめて針仕事を習ったのが家ではなく家庭科だった、というのが不運だったともいえるわけですが。。。

母は、針を扱うときに小さな子供がそばにいると危ない、と思ったらしく、いつも、針仕事をするときは私が眠った後でした。
小さい頃、朝目が覚めると、ワンピースや手提げ袋などが、魔法のように出来上がっていたことがあったのを思い出します。
ミシンは音がするので昼間にかけるのですが、縫っている時にはあまり近づかせてもらえなかったので、
私にとってのミシンは、本体がしまってあるときに足踏みの部分にもぐりこんで(昔の足踏みミシンは、足踏み部分の上に大きな馬の胴体のようなものがあって、使わない時には本体をひっくり返してしまえるようになっていました)、大きな輪っかをハンドルに、いろんなところへ出かける乗り物でした(ついでに、ボビンケースは、シガレットチョコに火をつけるライターでした)。
あの足踏みミシンはとても美しかったし、電気を使わずに縫物ができる、素晴らしい道具だったと思います。
いまでも、私はミシンではほとんど直線縫いしかしないので、
あれがあったらなぁ、と思ったりもします。
大きいので、ちょっと場所ふさぎではありましたが。
あ、脱線しました(^_^;)。

で、家庭科の時間に初めて針の扱いを教わったわけですが、
何しろ先生の手は早い!
それこそ魔法のように、きれいに揃った小さな針目でチクチクどんどん進んでいくわけです。
でも自分でやると、針がどんなに危険かさんざん指導されたあとなので、緊張しまくっておっかなびっくりだし、もちろん目はがちゃがちゃ、進みは遅い、ときどき手をさして痛い!
ちっとも楽しくなくて、しかも、時間内に所定のところまで進めなくて、がっかりするし、採点は低いし。
で、すっかり嫌いになり、もちろん苦手意識はバッチリ。

でも、縫物をする、ということへのあこがれは、なぜか自分の深いところにずっとあったような気がします。
あまりにも長くなるのでそれについては改めて書かせてもらいますが、そのおかげで私は、大人になってからもう一度針仕事と出会い、
時間を限られないので、ゆっくりじっくり好きなだけ時間をかけて、
採点もされないので、ヘタな針づかいでもおかまいなく、
何とかみっともなく見えないように自己流でいろいろ工夫をしながら、
針を持つ時間を楽しんでいます。
それは、とっても幸せなひとときです。

さっき、チクチクやりながら、
「ああ、やっぱりこういうの好きだなぁ・・・」と思ったときにふと、
私の針仕事とおんなじことが、他の教科でもあるのじゃないかな、と思いました。
算数でも国語でも理科でも社会でも、
新しいものに出会うのはとても楽しいことなのに、
学校ではそれをゆっくり味わうことができなくて、
本当は好きで、幸せな時間が持てるはずのものが嫌いになってしまったり、
苦手意識を持ってしまったりする場合が、結構あるんじゃないかな・・・と。

若いころ私はずっと、「大人になりたくない」などと言っていたのですが、
実際になってみると大人はなかなかいいもので、
さまざまなことに自分の意志でチャレンジできるというのが、
大人になってよかったなぁ、と思うことの大切な要素の一つです。
学校も、そんなふうだといいのになぁ。。。