国立劇場のひのき舞台でオイリュトミーをします(エイプリルフールではありません) ― 2019/04/01 19:09
5月25日に国立劇場で、
日本舞踊、インド古典舞踊、トルコ舞踊と、
日本のコンテンポラリーダンスを組み合わせた
「言葉~ひびく~身体Ⅰ
神々の残照-伝統と創造のあわいに舞う-」
という大きな公演があります。
その最後の演目「いのちの海の声が聴こえる」で、
古事記の群読とマーラーの交響曲第5番の響く中、
錚々たるダンサーの皆さんが踊られる舞台で、
19名のオイリュトミストが、群舞をします。
その大群舞に、夫と私も加えて頂いているのです。
昨年の12月から稽古を重ねて来ており、いまは、
フォルム(空間を移動する大きな動き)が全部通って、音の動き(主に腕と手で行います)も一部乗り始めています。
マーラーの交響曲第5番は、とてもドラマティックで起伏に富み、エネルギッシュな部分が続いたかと思うと、うっとりするほど美しいメロディや快活なところもあって、とても素敵です。ちょっと、映画音楽のよう。
オイリュトミーは1、2、4の3つの楽章をほとんど動くので、第2楽章の最後に1分ほどのインターバルがある他は、
ほぼ45分間動きっぱなしです。
しかも、音楽が変化に富む分、すごく激しかったり、早かったり、ゆったりと見えてたくさん動いていたりする、過酷なフォルムばかりなのです。
私は、十五年以上前のフォルトコースの最終公演で、シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」の30数分動きっぱなし、というのを経験しているのですが、それ以来の、というか、さらに10分以上長いハードさ。
あの時は、公演が終わったら体がすっかり変わっていて、「これはぜひキープしなければ!」と思いましたができるわけもなく、残念な思いをしました。
今回はどうなるでしょう。
おそらく、キープするには同じようなペースで動き続けるしかなく、それは至難の技ですが…
今度こそやってみたいです。
神々の残照―いのちの海の声が聴こえる ― 2019/04/26 15:58
昨日は、国立劇場での公演の、三回目の劇場稽古でした。
行くたびに思うのですが、国立劇場には、どこか特別の雰囲気があります。
舞台は間口も奥行きも広々としていて、奥へ行くとお客様からはかなり遠くなるのですが、
なぜか、どこにいても客席からとても良く見えます。
普通の劇場だと、横移動のフォルムは見えても前後のフォルムは見えにくかったりすることがよくあるのですが、
ここでは前後の移動もはっきりと見え、空間の広がりが
とても生きるのです。しかも、大勢の群舞でありながら、一人一人の心の動きまでが全部見えてしまう…
本当に不思議な舞台です。
昨日の稽古では、舞台前面で踊るダンサーさんたちと、
主に後方を受け持つオイリュトミー群舞との関係が
少しずつ見えてきました。
シャープな動きで魅せるダンサーさんたちの後方で、打ち寄せては引く波のようにオイリュトミーの大群舞が空間を動かし、かなりダイナミックな舞台になりそうです。
古事記の群読とマーラーの交響曲とが出会い、
コンテンポラリーダンスとオイリュトミーとが出会い、ちょっと言葉にはし尽くせないような
前代未聞の舞台が現出しそうで、ワクワクしています。
昨日は、ダンサーさんや群読の人たちが来る前にオイリュトミーだけの稽古があり、11時から2時までお昼休憩なしでほぼノンストップという、いつもながらのハードさでしたが、時間のたつのがあっという間で、とても充実した時間が持てました。
今回オイリュトミーの群舞に出るメンバーは、数年前に一緒にメキシコ公演へ行ってきた時の仲間。それぞれ、様々なキャリアを積み重ねての再結集です。あれからの数年で、みなそれぞれに進化してきました。
出された指示を理解する速度の速さ、全体の中で自分がどうすればフォルムの意図が実現されるのか考え、工夫して動く能動性、翌日の稽古までに前日の新しい内容をしっかりものにして来る姿勢(しかも、昼間は働いていたりして時間のない中!)等々、本当にすごい人々です。
しかも、それぞれがかなりの努力で状況をやりくりしながら参加しているせいか、何かで稽古を休まなければならなかった仲間へのフォローや、怪我や体調不良への気づかいなど、一時的に弱っている仲間に対しての思いやりが、
さらっとしてさりげなく、かつ細やかで温かいのです。
きついのはお互いさま、ということもあるのでしょうか、作品づくりに対する各々の厳しい姿勢がベースになっているので、優しくありながら、ぐずぐずした雰囲気に流れることもない、絶妙のバランスです。
かなり過酷な稽古ですので、おのおののセルフメンテナンスは欠かせません。最初の3か月ほどは、短い休憩の間、それぞれにメンテナンスをしながらの情報交換がとても楽しかったです。いろんなクリームやローション、ケアグッズからストレッチの方法まで、さまざまな新しい知識が一気に増えました。
所属した期は違っても、それぞれに癖のあるメンバーと4年間ほぼ毎日顔を合わせ、さまざまな局面を共に乗り越えてきたシューレでの経験が、強い結束力と深い思いやりを育てているのでしょう。年齢も立場もさまざまですが、
オイリュトミーへの思いで一つになれる、本当に居心地のいい場であり、素晴らしい仲間たちです。
舞台に対してどこまでもストイックでありながら他人への優しさを忘れない、
師匠の在りかたが、そのままグループの在りかたとして結実している感じがします。
昨年12月から、ちょうど半年ほどの稽古期間ですが、
ついに、本番まで1か月をきりました。
当日まで、引き続き綿密な努力を積み重ねながら、
全員で、力いっぱい駆け抜けたいと思います。


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