毒蛾じゃないんです2018/05/30 10:11

北野駅で京王八王子線から京王高尾線に乗りかえるとき(※)、少し向こう側の車内の様子がなんだか変なことに気が付きました。みんなそわそわして、

不安そうな落ち着かない顔をしています。

そういえば少し前、急に席を立って別の車両へ移っていく方がありました。 その時は別に、あたりに変わった様子は無いと思ったのですが。

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原因はすぐにわかりました。

どこから入ったのでしょうか、

真白な蛾が一匹、飛んでいたのです。

蛾の一匹ぐらいたいしたこともないと思うのですが、

実はこの蛾、名前をキアシドクガといいます。

きっとみんな、名前を知っているのでしょう。

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でも本当は、キアシドクガに毒はありません。

とても美しい真白な蛾で、

群れ飛んでいると夢のように素敵ですし、

間近で見ると、なかなか高貴な顔をしています。

どうしてこんな名前がついてしまったのでしょう。

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高尾駅についたら、駅舎のそこここに飛んでいました。

今年は多いのでしょうか。

 

※都内から京王線で高尾を目指す場合、運よく初めから京王高尾線に乗れている場合は別ですが、本数が少ないので、たいていの場合は京王八王子線に乗ることになり、北野駅での乗り換えが必要です。ホームの反対側で、高尾山口行が待っていてくれることが多いです。



    羽化したばかり。翅を乾かしています。透きとおるようできれいです

自由ということ―「板東 靜 海の見えるホールでFazioliを弾く」2018/05/30 21:15

昨晩は、すてきなコンサートに行ってきました。

会場は、豊洲駅からすぐ。

海が近いという利点を最大限に活かした作りで、

舞台の上手横と後ろが、一面窓になっています。

コンサートはちょうど日の入りの時刻頃から始まって、

音楽とともに、暮れてゆく外の様子も

楽しむことができるように配慮されていました。

第一部の前半、高野山の開山1200年記念イベントのために創られた、彼女のオリジナル曲が演奏されていたとき、

そこに繰り広げられる、深い山と自然、

すべてを包み込む清らかな気、修行の世界と、

目の前にある客席や舞台と、そして

窓の外のずっと向こうに、

海の近くを散歩する

人や自転車のシルエットが小さく見えて、

都会の何気ない日常と、舞台、自然、精神的な世界が

自分の中で一つに溶けあいました。

稽古をしたりして精進することと、舞台と、

いろんなことのある日常の生活と、

そのすべてがあって、私の世界が成り立っている。

どれかがどれかを邪魔していたり圧迫していたりするのではなく、丸ごと全部で愛しいものなのだと、

音と光を通して全身で感じられたのが幸せでした。

 

すっかり暮れてしまうと、

先ほどの散歩道よりさらにずっと向こうに

ちょうどいい距離感で

レインボーブリッジをはじめとする夜景が

煌めいて見えます。

思春期を過ごした横浜にちょっと似ているような気もして、来し方行く末を、思うともなしに思っているような、

心地よい時間を過ごしました。

 

「次世代型マルチリンガル音楽家 来地球記念ソロコンサート」

という、初めて見たときには一瞬驚いたサブタイトルは、

まさに!という感じ。

関西弁で、インドでの経験談などを交えながら繰り広げられるのは、

さまざまなハイテク機器を駆使し、

波紋のように音の波動をひろげる、人肌の温もりのある楽器と、響きの素晴らしいピアノを使って

日本語と英語と、私の知らない(アジアっぽい?)言語の、時代も国もさまざまな、歌や音楽たち。

 

その世界に浸りながら思っていたのは、

「自由」ということでした。

枠にとらわれず、いつも幼子のような感性でそこにいる

靜さんを通して生み出された音楽の世界は、

自由でありたい、と、

こだわりながらだんだん不自由になっていっていた私を

解き放ってくれました。

 

そしてもう一つ、届いたメッセージは、

数年前に座右の銘にしていたこともある言葉

Be Yourself.

 

誕生日の直前、

幸せな満月の夜を過ごして、

また、新しい自分になって歩きだせそうです。