「ユキ・パリス 幸せをよぶ手仕事」展2018/09/14 22:11

今日は、昨日から松屋銀座で開催の、「ユキ・パリス
幸せをよぶ手仕事」展へ行ってきました。
先日のブログでも書きましたが、私たちはこの展示会と連動して発売された本の編集に関わっているので、夫はほとんどの品を見ています。でも、本にするための作品としてみるのと展示されているものを鑑賞するのとでは見方が違って、とても新鮮だったようです。そして私はというと、作品の撮影が終わった後に合流してユキさんにインタビューをしたので、一つ一つゆっくり拝見する暇はなく、実物をじっくり眺めるのはほぼ初めてでした。

 

とにかく、圧倒されました。

入ってすぐのところにはサンプラーが、それから教習布が展示されていて、ほとんどは生徒さんたちが刺しゅうしたものなのですが、そのレベルからしてもう、息を飲むほど。一つ一つの目が緻密ですし、かけつぎなどは、この細かい布目を全部針と糸で作りだしたなんて、とても信じられません。どういうものなのかをあらかじめ聞いて知っていても信じられないくらいですから、知らなければ、単に布を切り取って縫いつけたのだろうと思ってしまうでしょう。そのせいか、あまりじっくり見ないで通り過ぎる方もあって、「もったいない!」と、思わず呼び止めたくなってしまいました。

見る方にも、ある程度の知識と想像力が必要です。何もかも機械でできてしまう現代人には、たとえば針の一本一本まですべてが手作りだった時代のことなど、どうしても想像しきれないところがあります。それを、どこまでありありと思い描けるかで、感動の度合いが違ってくるのではないかと思います。

それにしてもまったく、人間って、どこまですごいのでしょう。
もう、どう表現したらいいのかわからなくて、自分の語彙の乏しさに悲しくなってきますが、いったいどんな人が、どのようにしてこれを作ったのだろう、こんなものを作る人生って、どんな毎日だったのだろうと、ただひたすら信じられない思いがして、何度も思わず頭を振ってしまいました。

 

山で植物を観察するとき、ルーペで見ると、世界が全然違って見えて感動することがあります。肉眼では見えない細かいところがものすごく緻密な構造になっていて、どこまでも繊細に、完ぺきに美しく作られているのを見ると、すぐ隣に、自分には知りえないこんなに豊かな別世界が広がっているのかと、異次元を垣間見たような、ある意味厳粛な、不思議な思いに打たれるのです。そこは、小さな生き物たちのための別天地です。

ところが。
今日見た刺しゅうは、自分と同じ、人間が作っているはずのものです。
なのに。
ルーペで見たくなるくらい細かい部分にまで、信じられないほど緻密で美しい造作が施されているのです。
それは、「どうして!?」「一体どうやって!?」と、
叫び出したくなるほど。
レースの衿を見ている時にはとうとう、あまりの緻密さ、美しさに、涙がこみあげてきました。この衿に魅せられて、手に入れたいがために破産した貴族がいるというのも、わかるような気がします。

 

 

展示会は24日まで開催されています。
お時間がある方は、ぜひ足を運んでご覧になってください。
人間の、不可思議なほどの素晴らしさに打たれます。




『ユキ・パリス 幸せをよぶ手仕事』発売2018/09/04 16:53

本日『ユキ・パリス 幸せを呼ぶ手仕事』(世界文化社)が発売されました。
 ヨーロッパの古い刺繍やレースなど、手仕事で作られたもののコレクターとして知られるユキ・パリスさん。
913日~24日まで、松屋銀座8階で「幸せをよぶ手仕事 ユキ・パリスコレクション展」が開催されます。日本とデンマークを行き来しながら、京都、銀閣寺のすぐそばでアンティークミュージアム&ショップYUKI PALLIS COLLECTIONを営むユキさんが、40年以上をかけて蒐集されたコレクションの展示会です。

その展示会に連動して出版されたこの本ですが、単なる図版本ではありません。数々の品をご紹介する美しい写真とともに、手仕事から見えてくる心豊かな暮らしとユキさんご自身のライフスタイルも紹介され、読み物としても楽しめるものになっています。

掲載されているものの中には、王侯貴族が使った華麗な装身具もあれば5歳の子どもがひたむきに作った刺繍作品もあり、どれも、ユキさん独自の視点で選び抜かれた「心ある物」たちです。またこの本自体も、手間暇を惜しまず、心をこめて作られています。

繊細な手仕事にうっとりしながら眺めるのもいいし、レースの布から透けて見えてくるヨーロッパの歴史に思いを馳せることもできれば、非常に魅力的な「人」のあり方も浮かんできます。

喜びって何だろう、幸せって、豊かさって・・・? いろいろな思いを投げかけてくれる本ではないかと思います。

扱っているものの持つ力に見合った、妥協の許されない本づくりの日々は、大変でもありましたが、ユキさんという稀有な方の魅力にじかに触れ、夢のようなコレクションの数々にも接することができて、とても心豊かな時を過ごしました。

 

ユキさんの思いや考え方、生き方が詰まった、

宝物のような本です。

全国の書店でお求めいただけます。

また、本当に素晴らしい「心ある物」たちが

一堂に会した展示会です

どちらも、ぜひご覧になってください。





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Bead & Embroidery Art Vol.25 発売です2018/04/11 16:34

BeadEmbroidery Art25号が発売されました。

今号の特集テーマは、

ちょっと添えるだけで雰囲気を変えられる便利アイテム、

ブローチです。

大好評だった前回の特集から一年半、

今回は刺繍作家の方々にも加わっていただいて、

技術的にもデザイン的にも多彩な作品が集まりました。

表紙は、オートクチュール刺繍の作家、関根瑞希さんの作品です。

遊び心がくすぐられる楽しい作品や王道の美しい作品、

いろんな世界がお楽しみいただける内容になっています。

部分的にとはいえ編集に関わっている私が言うのもなんですが、

楽しかったり深かったり、読み応えのある連載も本当に充実していて、実にいい本だと思います。

ご購入は、bead art kobe webshop 

および、

Amazon、ジュンク堂書店にて。

 

           画面をクリックで大きくご覧いただけます。


BEAD ART Vol.20発売2017/01/11 21:30

BEAD ARTVol.20が発売になりました。

今号の巻頭特集は「ビーズ刺しゅう」がテーマでした。

華やかで繊細、とても美しい刺しゅうですが、ビーズと組み合わせたときの表現の豊かさも見どころです。

オートクチュールの衣装を飾るような豪華なものから身近な可愛らしいものまで、さまざまな作品が勢ぞろいして、ビーズ刺しゅうの「いま」が手に取るようにわかる特集となっています。

 

部分的とはいえ編集に関わっている私が言うのもなんですが、この雑誌は、いつも

情報のバラエティも質もともに素晴らしくて、

ビーズアクセサリーに関わる方はもちろん、

可愛らしいものや美しいものがお好きな方や、

「ものづくり」に関わるさまざまな方々に、

ぜひ読んでみていただきたい内容です。

 

下記のところでネット注文が可能です。

http://www.bead-art-kobe.com/

書店でお求めの方は、

全国のジュンク堂で販売されています。

ぜひお手に取ってご覧ください。

 




新刊発売!「やさしくできるおしゃれな 和布・きものリメイク」2015/11/14 22:47

私が編集しました、

「やさしくできるおしゃれな 和布・きものリメイク」

(主婦の友インフォス情報社刊)

が、11月13日に発売になりました。

 

若い方々にもきものリメイクが楽しんでいただけるよう、

若い作家の方々にも登場していただいています。

簡単な縫い方でおしゃれなものを中心に

異素材と組み合わせたデザインも取り入れ、

広い年代の方に着ていただけるようにと配慮しました。

 

編集にあたっては、

いろいろと紆余曲折がありました。

この本が世に出ることが出来ましたのは、

関わって頂いた多くの皆様のお陰です。

心から感謝しています。