こまつ座『きらめく星座』2020/03/16 14:43

こまつ座の、『きらめく星座』を観てきました。

先に観た娘から「すごく良かった!ぜひ観てほしい」といわれ、このところ外出に消極的な夫も心が動いたようで、

説得を試みようとしたら一瞬で成功。

久しぶりで一緒に出掛けました。

時節柄、

予定されていた公演期間の半分は取り止めになったとか。

もったいない話です。

一人でも多くの人に観て欲しかったと思います。

 

まだ再演の機会もあるかもしれませんから、

ストーリーは書きません。

戦争中の話です。

なにしろ井上ひさしさんの脚本ですから、

いろんな考え方の人がいて、

それぞれがそれぞれなりに、まっとうに、人間らしく正直で(はないかもしれないけれど)誠実に生きている。

そんな、どこにでもありそうで、もしかしたら稀有なのかもしれない、場所。

考え方は違っても、お互いの気持ちを尊重し合うことで、

一緒にいられる。

一緒に時を分かち合うという、大切なことができる。

自分の信念、主義主張を大切にしながら、

時にそれをぶつけ合いながらも相手の人間性を否定せず、

それ以上に、家族への愛情を一義とすることで、

初めてかなう、多様な在り方。その貴重さ。

 

 

結局のところは、

どれだけ人と心を通わせられるかに尽きるのだな、

完ぺきに一つにはなれなくても、

人間同士として心を通わせられる人たちと、

どれだけ時間を共有できるか、ってことなんだな、

と、思うのです。

 

時代や、それぞれの運命に翻弄されながら、

どこまで、そういう

ささやかだけれど本質的な時間が過ごせるか。守れるか。

 

 

小心者で思い込みの強い私ですから、

途中の休憩時にはすっかり、

自分が何か、重大な秘密を隠し持っているような気分になって、ドキドキびくびくしていたのですが、

よく考えれば、劇場じゅうの観客はみな同じ条件な訳で。

あれだけの人たちがいっせいに、

同じ家族の運命にどきどきしたり、必死で幸運を祈ったりしているのだと思うと、

舞台、劇場というのはものすごい場所です。

 

このところ、個人的にちょっとバタバタしていたので、

一気に違う時空間へ行けて、

大きく息がつけるような、本当に貴重なひとときでした。

 

でも、

いとも軽やかに投げかけられたメッセージは、

ずっしりと重く。

それに、

はらはらしすぎて首が凝ったかもしれません。




           チラシです。  井上ひさし作 栗山民也演出