新刊が発売されました!2014/06/19 21:17

本日、「今着たい服がつくれる 和布のソーイング」

(パッチワーク通信社刊)が発売されました。

 

以前に編集・出版した着物リメイク本4冊から、

セレクトした作品で構成しています。

 

4冊の本とも、試行錯誤しながら、

地道に本にしていった記憶があり、

その集大成ともいえる本だけに、どれも素敵な作品で、

感慨深いものがあります。

 

全国の書店で発売中です。

是非、ご覧いただけたら嬉しいです。

 




世紀の没落―ヴィスワヴァ・シンボルスカ2014/04/15 15:07

一昨日、
先日の公演(ここにいるよ)を観に来てくれた、
大切な友人と、会ってきました。
公演を観たあとすぐに、
金子光晴さんや石垣りんさんの詩集を読み返したといって とても素敵な手紙をくれたのですが、
この日は、石内都さんの「ひろしま」という写真集の中にあった詩を、 書き写してきてくれました。
ポーランドの偉大な詩人で、ノーベル賞も受賞している
ヴィスワヴァ・シンボルスカという人の詩です。

 

 

世紀の没落

            ヴィスワヴァ・シンボルスカ  
            つかだみちこ訳 
         

われわれの二十世紀は、前世紀より

よい時代であるべきであった

歳月人を待たずのたとえのように

年をとれば、歩みもおぼつかなくなり

息も短くなる

 

あまりにも多くの

起こるべきでないことが起きてしまった

そして、きたるべきことは

やってはこなかった

 

とりわけ 春や 幸せに向かって

歩み続けるべきであった

 

恐怖は、山や谷から去っていくはずであった

虚偽より早く真実は

目的に向かって突き進むはずであった

 

不幸な災害のいくつかは

起こらないはずであった

たとえば戦争

そして飢餓などの

 

備えのない無防備というものが

尊ばれるべきであった

 

だれがこの成し遂げることのできない

課題の前で動きのとれなくなってしまった

世界を寿ぐ(ことほぐ)ことを望んだのか

 

愚鈍さは 滑稽なことではない

賢明さということは 楽しいことではない

 

希望

これはもう、あの若い少女のものではない

残念なことに

 

神は 善良で たくましい人間を

信じるべきであった

しかし善良とか たくましいということは

これは依然としてまだ一人の人間にのぞむべきこと

ではない

 

どのように生きるべきか―手紙でだれかが訊いてきた

この同じ問いを

だれに投げかけたらよいというのか

 

今まで書いてきたように

またいつもと同じことではあるが

どう生きるのかという素朴な質問以上に

緊急な問いかけというものはない


(引用ここまで)

Wikipedia
などで調べたところ、(写真もありました)
ヴィスワヴァ・シンボルスカという人は、とても素敵な女性のようでした。
もっと読みたくなって、
「シンボルスカ詩集」と「終わりと始まり」を

買ってみました。届くのが楽しみです。

 





三浦しをん作「舟を編む」「まほろ駅前 多田便利軒」2013/12/13 17:00

ときどき、発作のように、どうしても小説が読みたくなることがあります。

忙しくてそもそも本が読めなかったり、
他の種類の本ばかり読んでいたりする時期が続くと、
突然、強い飢餓感に襲われるのです。

 

今回は、その状態になってからも、しばらく思いが遂げられない時期が続きました。

どうしてか、そういう気分の時にはまだ読んだことのないものでないと厭ですし、もちろん、読んで良かったと思えるようなものでないと・・・と思ってしまうので、なかなか出会えなかったりもするのです。

 

先ごろ、
ようやくその飢餓感を満たせる機会が訪れました。

以前から是非読みたいと思っていながら忘れていた

三浦しをんさんの「舟を編む」を、
夫が入手したのです。

国語辞典の編纂に関わる人々を描いた小説、
と聞いていたので、
結構固い、というか、
古風な小説を思い描いていたのですが、
スピード感のある軽やかな文体だったので、
漫画でも読むような気分でさらさらと、
あっという間に読めてしまいました。

 

いまの自分の仕事は、
出版関係とはいえ分野が違うのですが、

学生時代は文学部の文芸専攻でしたし、

文芸誌の編集補助や、
文学全集の校正のアルバイトをしたこともあったので、
空気というか、独得のにおいのようなものにも共感する部分が大変多くて、

しかも、自分も含め、身辺に大変多い「変人」

(何かにほれ込んで一途に打ち込むあまり、俗世からは
ズレている人々)への、

作者の視線のあたたかさが心地よく、

いいものを読ませてもらった!という読後感でした。

 

続けて、やはり夫が入手した

「まほろ駅前 多田便利軒」も読み、すっかり

三浦しをんさんのファンになってしまいました。

 

どちらも、映画になっていたり、ドラマになっていたりするようです。

原作に思い入れが強い場合、
映画化されたものに満足できないことがよくありますが、
この二作については、
読みながらも映像が浮かんでくるような感じがするので、

ぜひ観てみたい気がしています。




              装丁も、とても美しい本でした。
         主人公たちが世に送り出した辞書の装丁を摸しています。


       シュタイナー幼稚園ではクリスマスに「りんごろうそく」が恒例ですが、
       こちらはなんと、りんご煙草です・・・

「レース模様と花を描く モラアップリケのキルト」発売です2013/08/21 13:20

木山春代さんのオリジナルキルト、

「モラアップリケ」と「レースモラ」の本が
出来上がりました。

美しい作品の数々に、ほしいけれど、

作るのはすごく難しいのだろうな…と思っていたら、

「初心者の方でもできますよ~」と、
木山先生はにっこり。

作り方に工夫がしてあるので簡単だし、

「あまりきっちり揃えるとかえって味が出ないから、適当にやってください」

と、おおらかに笑う先生をみていると、僕でもやってみたくなってきます。

 

写真もきれいで、
なかなか良い本になったのではないかと思っています。

今回はほとんど作品だけを写しているのですが、

中に一枚だけ、人物の入った写真があります。

実は彼女、モデルさんではなく
とてもカッコいい人物写真を撮る、カメラマンなのです。

撮影アシスタントで来てくれていたのですが、
突然モデルが必要になり、

「え、ヘアメイクもなしに!?」「大丈夫、大丈夫」

などというやり取りの後、ポーズをとってくれました。

お陰で、バッグの感じがよく伝わる、とてもいい写真になりました。

 

全国の書店には、明日並ぶ予定です。

是非お手に取ってご覧ください。






ル・グウィンの世界2013/04/10 15:30

このところ、アーシュラ・K・ル・グウィンの“ハイニッシュ・ユニヴァース”シリーズを読んでいます。

初めてル・グウィンを知ったのは「ゲド戦記」で、つい最近まで、彼女がSF界の女王とまで呼ばれていたことを知りませんでした。

「ゲド戦記」の深さに感動し、ずっとそれだけを読み返して満足していたのですが、自分を取り巻く社会の状況が激変した頃から、彼女の考えをもっと多角的に知りたいと思うようになりました。「ギフト」「ヴォイス」「パワー」の3部作や「ラウィーニア」も読んだのですが、もっと読みたい!もっと何かあるはず!と思っていたところ、なんと、私が知らなかっただけで、素晴らしいSFの作品群が豊かにあったのでした。

最初に「闇の左手」をみつけ、“ハイニッシュ・ユニヴァース”シリーズについて知った時は、まさに金鉱を掘り当てた気分でした。

「所有せざる人々」「言の葉の樹」と読みすすんで、その思いはますます強まりました。

                                                                                                                              

宇宙を舞台に、権力の横暴と虐げられた人々の攻防、ユートピアの現実、「未開」の地と「文明」との出会いの問題、本当の豊かさとは、異文化や異人種を受け入れて共にやっていくということ、性差の問題などなどを通して描かれる世界には、求めていた「社会と人間」についての彼女の洞察があふれていて、宝の山のようです。

最初は、どうしてもっと早く出会わなかったのだろうと思いましたが、私にとっては、物語の中のさまざまな状況がリアルな問題として読めるいまこそが、これらの物語を読むベストな時期だったのかもしれません。

ゲド戦記の、どこまでも深い洞察や人間観察の背景にあるものが少しわかった感じもして、また読み返したい気持ちにもなっています。

 

残念なことに、いま読んでいる「世界の合言葉は森」(「アオサギの眼」という中編と一緒になって一冊の文庫です)は絶版になっていて、図書館で借りるしか読む手立てがありません。ぜひ再販されてほしいと思っています。