佐藤雅彦著 『認知症になった私が伝えたいこと』2020/07/07 16:19

辛かった時に読んで、

助けになった本のご紹介、

2回目です。

 

今日ご紹介するのは、

佐藤雅彦さん著

『認知症になった私が伝えたいこと』

です。

 

この本もやはり、

若年性認知症を発症した方の

書かれたものです。

著者が日本人なので、より身近に感じました。

 

クリスティーンさんと同様に、

並外れた知性をお持ちの方です。

 

そしてやはり

クリスティーンさんと同様に、

頭を病んでいるからと言って、

人間扱いされなくなるのはおかしい、と

おっしゃっています。

 

全く、その通りだと思います。

 

これはちょっとずれるのかもしれませんが、

 

以前はよく、

老人介護にかかわる方々が

お年寄りに向かって

「〇〇しようね~」などと

子どもに話しかけるようにしゃべっているのを

見かけました。

 

テレビの人気司会者にも、

そういう方がいらしたと思います。

 

 失礼な話だ

と、いつも思っていました。

 

 お年寄りは、

身体は動きにくくなっていられるかもしれないし、

人によっては、

認知力が低下していらっしゃる場合も

あるかもしれない。

 

だからといって、

人生の先輩に向かって

若輩者が、

相手を見下したような言葉遣いをするのって

どんなものでしょう。

 

それは、

親しみの表現

などではありません。

 

 

いつだったか、

包括支援センターの方にそういう話をしたら、

いまは、

そういうことにも気を付けるように指導している、

とおっしゃっていました。

どうりで、

最近は減ってきた感じがしていました。

 

 

あ、話がずれました。

本の感想に戻ります。

 

 

この本を読んでとても印象的だったのは、

佐藤さんが、

一人暮らしを続けるため、

ご自分で、

さまざまな工夫をしていらっしゃることです。

 

忘れることを防ぐため、

そして、

忘れたときにも

困らないように、

いくつものステップで、

トラブル回避の工夫をされているのです。

 

 

著者の佐藤雅彦さんは、

NHK教育テレビの人気番組、

「ピタゴラスイッチ」などを生み出した方なのだ、と

聞いたことがありました。

 

実際は、同姓同名の別の方のようなのですが、

 

それを聞いたときは、

さもありなん

と思いました。

 

ボールが転がっていってこの板を押すと、

板が落ちてこの棒を押し、

その棒が次のボールを押して…

という具合に

次から次へと

目の覚めるような面白い展開があって

ことが進んでいく、

あの感じ。

 

発想が自由で、

おとなもこどもも

一緒にワクワクできる、

大好きな番組でしたが、

 

この本の著者である

佐藤雅彦さんの

日々の暮らしの工夫が、

まさにあの感じだったのです。

 

どちらも理系の方ですから、

共通するものがあったのでしょう。

 

ユーモアに満ちた、本物の知性。

 

あったかくって、

人間っていいなぁ

と思わせてくれるような

血の通った科学です。

 

 

 

大切なのは、

ただトラブルなくやっていくことじゃない。

 

生きている実感を持てる瞬間、

そう思える機会を作ること。

 

たとえば、

好きな音楽を聴くことであったり、

道端の美しい花を見ることであったり、

讃美歌の合唱の練習に通うことであったり。

 

佐藤さんは、

そのためにも

さまざまに工夫をされています。

 

 

 

「生きがい」なんて、

思っているほど

大きなものではなくて、

 

でもそれは、

ただじっと待っていたら

やってはこない。

 

工夫が、いるのです。

 

・・・・・

 

クリスティーンさんにしても

佐藤さんにしても、

 

素晴らしい方なのに、

認知症になってしまわれた

 

と考えることもできますが、

 

こんなに素晴らしい方だからこそ、

この人間界のうちの、

「認知症部門」を牽引していく担当者として

選ばれたのかもしれない。

 

 

こんな言い方をすると

ご本人は気を悪くされるかもしれないのですが、

 

つい、

そんな風に思ってしまいます。

 

この本を読んだとき、

なんだか霧が晴れたように

明るい気持ちになれたのです。



佐藤雅彦さんのHPはこちらです