母の今年 その1―胃潰瘍の顛末ー2019/12/17 20:40

今年、86歳の母は、二度ほど大きな山を越えました。

一番大きかったのは、2月から4月いっぱいにかけてのことです。胃潰瘍をやりました。

何年も前からどうも貧血傾向が治らず、もしかしたらどこかで出血している恐れがある、と言われてはいたのです。でも、程度がひどくないこともあり、胃カメラや内視鏡検査に耐えられるのかが不安で精密検査はせずに来ました。

ところが。

2月に娘(母にとっては唯一の孫)が結婚し、バタバタと独立していきました。しかも夫と私が、5月末に大きな舞台を控え、昨年12月から、しばしば夜に稽古で出かけました。娘がいなくなってからは、妹が仕事から帰るまで、1時間弱ですが母に一人で留守番をしてもらう日が週に34日ほど。

それがストレスだったのでしょうか、2月ごろから腹痛を訴えるようになり、だんだん頻繁になって、程度も強まっていきました。

お通じの具合があまり良くなかったので、てっきりそのせいかと、かかりつけの医院で治療をしばらく受けたあと、大きな専門病院に紹介していただきました。

医院の診療に午前中いっぱいかかったので、紹介先を午後から受信したところ、ご紹介いただいた先生は午前中しか外来の診療がないとのことで、別の先生の診察を受けました。

腹部のCTを撮り、血液検査を受け、言われたのは、CTの画像を見ると胃壁がやや厚くなっているようだが、便秘の理由はわからないので何もできない、と。

詳しく調べるには内視鏡検査などを受ける必要があるが、年齢も年齢だから、精密検査を受けるかどうか家族で考えて、改めて受診してください、とのことで、とりあえずのお薬を処方していただいて帰ってきました。

ところが、家に帰ってそのお薬を見ると、「腸などに閉塞がある場合は絶対に飲まないでください」との注意書きが。ネットで調べると、使い方を誤ると腸が破裂する恐れもあると書かれていました。理由がわからないのだから、閉塞がないとは言い切れないわけで、もしあったら命に係わります。しかも、もともとお腹が痛くて辛いと言っているのに、さらに腸の活動を亢進するお薬など飲んだら、本人の苦痛はどれほどでしょう。

そのお薬は飲まないことにしましたが、紹介された大病院がそれでは、打つ手がありません。

途方に暮れてケアマネさんに相談すると、訪問診療に力を入れている先生のいらっしゃる病院があるとのことで、そちらを受診しました。

その先生は、それまでの経緯をすべて聞いてお通じを柔らかくするお薬を出してくださり、各病院で出された薬を、母の様子をみながら使い分けられるように、詳しく説明してくださいました。

お蔭でお通じはなんとかあって少し楽にはなったものの、腹痛は収まらず。血液検査の結果を聞くと、貧血の進み具合が尋常ではないとのこと。このままでは命に係わるから、先般紹介を受けた大病院で精密検査を受けたほうがいいと強く勧められ、同じ病院でもお医者様が違えば違う診断もあるかもしれないと一縷の望みをかけて、こんどこそ紹介を受けた先生に必ず診ていただけるように日時を選び、くだんの大専門病院を再受診しました。

4月のはじめ、最初の受診から1か月後のことです。

すると。

前の診察時に撮った、同じCTの画像を見てその先生がおっしゃったのは、

「胃のここに、大きな穴があります。すぐに胃カメラを撮ったほうがいい」。土曜日でしたので、即座に2日後の予約を入れてくださいました。

胃カメラと生検の結果は胃潰瘍で、悪いものではなかったので安心しました。でも貧血も進んでしまったし、穴が大きくて満足に物が食べられる状態ではないので輸血が必要かもしれないと言われ、普通なら入院するところだけれど、「入院すると認知症が進んでしまうので自宅で療養し、近くの病院へ通うように」とのご指示をいただいて帰ってきました。かかりつけの医院にうかがうと輸血はできないとのことで、何とか口から食べるように、との指示をいただき、ふつうに家で療養することに。

メニューを工夫し、いただいたお薬をしっかり飲み…

幸い、そこからは驚くほど順調に回復して、一月後、ゴールデンウィークの頃にはすっかり治りました。

 

 

紹介を受けた大病院の先生は、素晴らしい方でした。受付で手紙を渡して認知症のあることをお伝えしてあったのですが、きちんと、母の顔色や肌の様子なども見て診察してくださいましたし、癌の危険性もあることなどの恐ろしい情報は妹と私だけに見せ、ほかのことは、母本人に説明してくださいました。

それにしても。最初の受診から次の受診までの1か月間、母はよく頑張ってくれたものだと思います。私たちも、胃壁が厚いなどと言われたのでスキルス胃がんではないかと心配しましたし、処方されたお薬を素直にそのまま飲んでいたら、最悪中の最悪といってもいい事態が起こったはずです。危ないところでした。

 最初に診ていただいた先生は、その後、そこの大病院からはいらっしゃらなくなりました。いまはどこにいらっしゃるのでしょうか。

 

食養生を始めたころ、思い切って発芽酵素玄米の炊飯器を買いました。いまも母は発芽酵素玄米ご飯が大好きで、食べるたびに「このご飯、美味しい!」と感激します。

「私、食いしん坊なんだけど…とても食べられないわ」と悲しそうな顔をしていたころのことを思うと、毎食「おいしい!」を連発しながらにこにこ食事をしている今が、心底ありがたいです。