ムクドリの巣立ち2017/05/29 20:02

いつの間にかムクドリが巣を作っていました。

私の部屋のすぐ外の、軒下でしょうか、ベランダからは見えない場所です。

日が昇ると、親鳥が餌を運ぶ度に雛たちが元気いっぱいに大きな声を上げるので、

5時ごろからその声で起こされます。

娘の部屋も近く、公演前で少しでも眠らせてあげたい時期だったので困ったのですが、

ひなが育っているのですから仕方ありません。

 

それだけならまだしも、

ある朝、一羽のひなが巣から天井裏側へ落ちて、

天井裏の、私の部屋の上あたりを駆け回る、という事件がありました。

初めのうちは、ときどき転んだりもする足音が可愛くて笑っていたのですが、だんだんじっと休憩する時間が増え、心配になってきました。

巣へは、おそらく高さがあって、天井裏側から自力で戻ることはできないのでしょう。

しかたないので、仕事に出かける前の娘に、天井裏へ登ってもらいました。

(いつもなら私がやるところでしたが、ちょっと前に自転車で転んであちこちが痛く、天井裏に上る元気はありませんでした)

 

野生の生き物は、人間のにおいが移ると親が育児放棄をすることもあるそうなので、

においが移らないように手袋をして、

呼びかけると、ひなはまだ恐れを知らないので自分から近づいてきて、わりと簡単に保護することができました。

手に包まれると、ひなはほっとしたのかうとうとしはじめ、天井裏側からは巣が見えなかったので、娘はしばし途方にくれていましたが、

巣のひなたちが小さく声を出したので、その声から位置の目安をつけました。

屋根の梁にあったごく小さなすきまに、ひなを乗せた手を差し入れ、降りやすいように角度をつけて促すと、本人ならぬ本鳥が、意を決したのかふと手をはなれ、気配から、うまく巣に入ったようだったのでほっとしました。

その日は一日、ムクドリの様子に気をつけていましたが、特に異常が無いようだったので安心しました。

 

ひなが天井裏にいる間、親鳥は外から声をかけていたようで、ひなの行くところ行くところ、親の声も移動していました。

思いはあっても、鳥の身では助けることもできず、

辛かったのではないでしょうか。

他人事(他鳥事?)とは思えませんでした。

 

その翌々日、今度は親鳥が別の空気穴から入ろうとして引っかかったようで、

バサバサと羽ばたくたびに壁土の落ちる音がしました。

こちらは、娘が覗いたときにはすでに、無事に通り抜けたのか天井裏を飛び回っており、大丈夫そうだったのでそのまま降りてきたら、自力で脱出していきました。

それからは、また何かあった時のために、

いつでも天井裏へ上がれるよう、荷物を出して天袋をからにしておきました。

 

 

ここ二、三日、ときどきバサバサと聞いたことのないような羽音がするので、

巣立ちが近いのかな、と思っていたら、

今朝はひなたちの声がせず、

とつぜん静かな朝が戻ってきました。

別に、ファンファーレが鳴ると思っていたわけでもないのですが、あまりに静かな巣立ちでした。

元気にやっていってほしいものです。