「春の狂詩曲」制作ノート―12017/03/21 11:40

先月末から風邪で寝込み、

パソコンを開かない生活がしばらく続いた。

実はまだ、完治したかどうか怪しいのだけれど、

家族の力を借り、今までより少しゆっくり生活することで

稽古をしながら生活が回せるようになっている。

 

と、いうわけで、久しぶりのブログ更新になった。

休んでいる間に、書きたいことがたくさん流れていった。

とても残念だ。

 

 

・・・実はこの「残念だ」は、

春の狂詩曲の中で取り上げたテキストに出てくる言葉だ。

なんということもない、ごく普通の一言だけれど、

このごろ、日常生活の中で折に触れ使いたくなる。

もう一つの「満足している」という言葉とともに、

小さなマイ・ブームになっているようだ。

 

これらの言葉が使われているテキスト「仕事ばんざい」は、13歳で金具職人の徒弟になった少年の日記だ。

第二次大戦直後の、

占領下にあったイタリアで書かれたものなのだが、

菓子パンをもらったことが嬉しそうに書かれていたりはするものの、戦争の傷跡は、日記からはうかがい知れない。

同じ敗戦国なのに、日本と比べるとずいぶんのんびりしている気がして調べたら、ある歴史家の分析で、

イタリアは「負け上手」なのだ、という記述を見つけて唸った。

 

日・独・伊…敗戦の仕方も、戦後の歩みも、ずいぶんと違っている。

気質の違いもある気がするけれど、

国家を動かす人々には、なによりもまず、

「国民を守る」ための手段を、

冷静に、したたかに考えられる人であってほしいものだ。

自分みたいな単細胞にはとうてい務まらないな、

と思いつつ、そんなことを考えた。




春の狂詩曲制作ノート―22017/03/27 20:31

「チラシを見たのですけれど、『オイリュトミー』というのは何ですか?」

というお電話をいただいた。

初めての方にオイリュトミーをご説明するのは難しいのだけれど、なんとかお話しすると、

「実は、チラシの絵に魅了されて、公演を見てみたいと思ったのです」

とのことで、ご予約をいただいた。

こんなこともあるのかとちょっと驚いたが、

とても嬉しかった。

 

「春の狂詩曲」のチラシに使われている絵は、

今回一緒に公演を開催するピアニストご夫妻の、

奥様のお父さまが描かれたものだ。

お宅に伺うとリビングルームに飾ってある、

とても大きな絵。

春の明るさと、深い感情のうねりを持つ狂詩曲の感じと、

両方を併せ持つところがぴったりだと、チラシに使わせていただくことになった。

印刷したらやや色が浅くなってしまって心配したが、

この色でも大丈夫と、ご本人のお許しが出てほっとした。

本物はもっと深い色合いで、とてもパワフルな、素晴らしい絵だ。

 

絵の持つ力、音楽の持つ力、言葉の持つ力、

そして身体の持つ力。

すべてが混然一体となって、

そのどれもが最高に輝くような舞台になってくれたら、と願っている。