無事帰国しましたーhayasasurahime出演報告2014/11/02 11:58

先日、メキシコより無事に帰国しました。グアナファトで開催された、セルバンティーノ国際芸術祭の招聘作品「速佐須良姫(hayasasurahime)」(笠井叡作・演出・出演)にオイリュトミストとして出演のため、十日間の旅でした。(帰国後の慌ただしさに、ブログへのアップがすっかり遅くなってしまいました)

 

セルバンティーノ国際芸術祭は、40年以上も続いている中南米最大の芸術祭です。今年は、メキシコと日本との国交400年(伊達政宗の使節が訪れたのが400年前だそうです)を記念して、日本が特別招待国とのことで、大きく漢字で「和」と書かれた垂れ幕が、トンネルの入り口など町のいろんなところに掲げられており、劇場にも、日本の風景写真を背景に鳥居のレプリカが置かれていました。

非常に歓待していただいて、滞在中はとても快適に過ごしました。コーディネーターのSさんを始め、現地スタッフの方々に感謝しています。

 

富士山の五合目くらいという高地のため酸素が薄く、激しく動くと息が切れます。舞台そでに酸素吸入器を設置しての公演というのも初めての経験でした。

高速道路の事故渋滞のため照明機材の到着が大幅に遅れたうえ、予定通りの機材が届かなかったりもして、照明スタッフさんはとても大変だったようです。そのため、本番前日の関係者に観ていただくゲネがなくなって、現地のニュースにはリハーサル風景が放映され、なんと、マスクやトレパン姿のダンサーたちが…その映像が、さっそくYou Tubeにアップされていたと知って驚きました。今検索してみたところ、現地でのニュースにも何チャンネルかあったようで、いくつかのバージョンがあります。中には照明作りのために衣装を着ている映像もあり、場当たりだったためみんな全力で動いてはいないので、まさか、あれが本気だと思われたりはしなかったか、ちょっと心配だったりもします。

 

 

本番は二日間あったのですが、どちらも1500名もの方々がお越しくださっての大入り(1200名を越えると「大入り」とみなされるそうです)で、始まる前の、期待感を含んだくつろいだ雰囲気が、始まった瞬間に一瞬にして深い静寂にさっと変わったこと、最後までものすごい集中力で観て、喜んでくださったことに感激しました。翌日、帰る前にグアナファトの市外見物をしたときには、たくさんの方々から「みましたよ!素晴らしかった!」と(思われるスペイン語や英語で)声をかけたり手を振っていただいたりしたのも、いかにもフェスティバルという感じでうれしかったです。緑の髪の女性ダンサーさんたちは、あちこちで記念写真を撮られていました。中でも嬉しかったのは、レストランで食事をしていたら、開いている窓の外から(後で、わざわざ言いに来てくださったということがわかりました)欧米人の女性が「オイリュトミー(eurythmyと英語で発音されました)、素敵でした!」と言ってくださったこと。とても驚き、感激しました。

 

オイリュトミー勢は、前回(2012年、大駱駝艦さんとの東京公演)は私たち二期生が最古参だったのですが、今回は一期の卒業生も二名加わり、ますます厚みを増した感がありました。何期にもまたがって交流ができて、修学旅行的な楽しさもあり、いろいろと勉強にもなって、とても幸せな経験でした。

 

メキシコの方々は人懐っこくて明るく、英語は大体通じるのですが、片言のスペイン語で挨拶すると、とても嬉しそうに笑ってくれます。平均年齢もすごく若く(私の聞き違いでなければ二十代前半)、こどもたちがたくさんいる成長する活力に満ちたお国柄で、スペイン語を勉強してくればよかったと何度も思いました。最後の日にはテオティワカンの壮大な遺跡も見学でき、メキシコがすっかり好きになって帰ってきました。

 

うまく言葉にはならないのですが、メキシコに行って、ダンサーさんたちの踊りも自分たちのオイリュトミーも、何かが大きく変わったのを感じました。踊りは生きているものなので、何度稽古や本番があってももちろん毎回違うのですが、それ以上に、土地の力、そこにいる人々の力で本当にどんどん変わっていき、何度踊っても、どこまでもさらに深くなっていく、大きな体験をさせていただきました。メキシコのグアナファトという地で、「速佐須良姫(hayasasurahime)」という深い意味のある舞台に参加させていただけたことは、とても大きな喜びです。



          グアナファト。革命記念像前の丘から市街を臨む。
     この写真では遠くに少ししか見えないけれど、家々がカラフルで、
     とても可愛らしかった。


                  準備中の劇場。