嘘つきアーニャの真っ赤な真実(A)2014/08/26 15:21

もう先月のことですが、

大学時代の友人たちと久しぶりに会いました。

待ち合わせは、たいてい同じ書店です。

少し早目についてなんとなく棚を見ていると、

米原万里さんの「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が

文庫になっていたので、

帰りの電車で読むために購入しました。

米原万里さんの本は初めてだったのですが、

いつもかっこいい高校時代の友人(女性です)が、

尊敬していると言っていたのを思い出したのです。

 

多感な少女時代をプラハのソビエト学校ですごした著者が描く、3人の元同級生との当時の思い出と、

30年後に、彼女たちの消息をたどって果たした再会。

著者のものを見る目の清澄さと

描き出される友人たちの生き生きとした個性、

そこにあぶり出される生身の東欧史に、

深く打たれました。

 

どんな歴史も、

一人一人の生身の人間の物語として捉えるとき、

初めて血の通ったものとなります。

福島のことも東京のことも、

ガザのこともイスラエルのことも、

シリアのこともアフリカのことも

世界中の、あらゆる場所のあらゆる立場の人々について、

なかなか生の声に接する機会はないのですが、

できるだけ、そういうスタンスで見ていきたいと、

あらためて思いました。

 

歴史が大きく動くとき、

人々の人生もそれに翻弄されます。

いま、この時代を、自分はどう生きていくのか…。

これから、

米原さんの著書をもっと読んでいきたいと思っています。