世紀の没落―ヴィスワヴァ・シンボルスカ2014/04/15 15:07

一昨日、
先日の公演(ここにいるよ)を観に来てくれた、
大切な友人と、会ってきました。
公演を観たあとすぐに、
金子光晴さんや石垣りんさんの詩集を読み返したといって とても素敵な手紙をくれたのですが、
この日は、石内都さんの「ひろしま」という写真集の中にあった詩を、 書き写してきてくれました。
ポーランドの偉大な詩人で、ノーベル賞も受賞している
ヴィスワヴァ・シンボルスカという人の詩です。

 

 

世紀の没落

            ヴィスワヴァ・シンボルスカ  
            つかだみちこ訳 
         

われわれの二十世紀は、前世紀より

よい時代であるべきであった

歳月人を待たずのたとえのように

年をとれば、歩みもおぼつかなくなり

息も短くなる

 

あまりにも多くの

起こるべきでないことが起きてしまった

そして、きたるべきことは

やってはこなかった

 

とりわけ 春や 幸せに向かって

歩み続けるべきであった

 

恐怖は、山や谷から去っていくはずであった

虚偽より早く真実は

目的に向かって突き進むはずであった

 

不幸な災害のいくつかは

起こらないはずであった

たとえば戦争

そして飢餓などの

 

備えのない無防備というものが

尊ばれるべきであった

 

だれがこの成し遂げることのできない

課題の前で動きのとれなくなってしまった

世界を寿ぐ(ことほぐ)ことを望んだのか

 

愚鈍さは 滑稽なことではない

賢明さということは 楽しいことではない

 

希望

これはもう、あの若い少女のものではない

残念なことに

 

神は 善良で たくましい人間を

信じるべきであった

しかし善良とか たくましいということは

これは依然としてまだ一人の人間にのぞむべきこと

ではない

 

どのように生きるべきか―手紙でだれかが訊いてきた

この同じ問いを

だれに投げかけたらよいというのか

 

今まで書いてきたように

またいつもと同じことではあるが

どう生きるのかという素朴な質問以上に

緊急な問いかけというものはない


(引用ここまで)

Wikipedia
などで調べたところ、(写真もありました)
ヴィスワヴァ・シンボルスカという人は、とても素敵な女性のようでした。
もっと読みたくなって、
「シンボルスカ詩集」と「終わりと始まり」を

買ってみました。届くのが楽しみです。