ル・グウィンの世界2013/04/10 15:30

このところ、アーシュラ・K・ル・グウィンの“ハイニッシュ・ユニヴァース”シリーズを読んでいます。

初めてル・グウィンを知ったのは「ゲド戦記」で、つい最近まで、彼女がSF界の女王とまで呼ばれていたことを知りませんでした。

「ゲド戦記」の深さに感動し、ずっとそれだけを読み返して満足していたのですが、自分を取り巻く社会の状況が激変した頃から、彼女の考えをもっと多角的に知りたいと思うようになりました。「ギフト」「ヴォイス」「パワー」の3部作や「ラウィーニア」も読んだのですが、もっと読みたい!もっと何かあるはず!と思っていたところ、なんと、私が知らなかっただけで、素晴らしいSFの作品群が豊かにあったのでした。

最初に「闇の左手」をみつけ、“ハイニッシュ・ユニヴァース”シリーズについて知った時は、まさに金鉱を掘り当てた気分でした。

「所有せざる人々」「言の葉の樹」と読みすすんで、その思いはますます強まりました。

                                                                                                                              

宇宙を舞台に、権力の横暴と虐げられた人々の攻防、ユートピアの現実、「未開」の地と「文明」との出会いの問題、本当の豊かさとは、異文化や異人種を受け入れて共にやっていくということ、性差の問題などなどを通して描かれる世界には、求めていた「社会と人間」についての彼女の洞察があふれていて、宝の山のようです。

最初は、どうしてもっと早く出会わなかったのだろうと思いましたが、私にとっては、物語の中のさまざまな状況がリアルな問題として読めるいまこそが、これらの物語を読むベストな時期だったのかもしれません。

ゲド戦記の、どこまでも深い洞察や人間観察の背景にあるものが少しわかった感じもして、また読み返したい気持ちにもなっています。

 

残念なことに、いま読んでいる「世界の合言葉は森」(「アオサギの眼」という中編と一緒になって一冊の文庫です)は絶版になっていて、図書館で借りるしか読む手立てがありません。ぜひ再販されてほしいと思っています。