ワークショップについて2012/03/06 00:43

オイリュトミーの学校を卒業する時に、面接で
「まだとても人に教えられる感じはしない」と言ったら、

師匠の返事は

「自分の器をいっぱいに満たして、外へ溢れ出るようになったら教えればよい」

ということでした。

それから、専攻科を修了し、舞台グループに所属し、

年数だけは経っていきましたが、

どうすれば求めている踊りに近づくことができるのか、

自分に向き合うのが精いっぱいで、

外へ向かって流れだすには程遠い感じでした。

 

 

5年ほどいたペルセパッサを退団し、

Lands and Skiesとして独立してから少ししたころ、

「伝えたい」という思いがふつふつと湧いてきて、

ワークショップを始めました。

新しく、いろんな方と出会いたい
という気持ちが強くなったのです。

力の流れについて、
以前よりはっきりわかるようになったこと、

借り物でない、自分なりのものを手わたせる
という感覚が生まれたことが、

踏み切れたきっかけだったように思います。

 

「自分の器がいっぱいに満ちたとき」というのを、
どこかで

「本当に満足できる踊りができるようになったとき」
と思っていたのですが、

それでは一生かかっても始められないかもしれないし、

おそらく、「器が満ちる」というのは、
そういうことではないのだろう

と思うようになったのもあります。

 

ひとに伝える、というのは、
踊るのとは全く別の技術がいるので、

初めのうちは、舞台で踊っている方がずっと楽だ!と
思ったこともありました。

でもこのごろは、ワークショップをしていると、

経験者の方はもちろん、初めての方でも
どんどん変わって行かれて、

一緒に動きながら、
そこに流れているすごい力に感動することが
よくあります。

 

 

いま、世の中が大きく変わってしまって、

これからの時代を本当の意味で生き抜いていくために、

オイリュトミーは
とても力強いツールになるはずだと思っています。

だから、

一人でも多くの方に、きちんと伝えられるよう

どうすればいいかとあれこれ考えることも、
とてもやりがいのあることです。

  

Information

3月の「あいうえおいりゅとみー」は、
20日(火・祝)の午後1:30~4:30、

いずみホールの練習室で行います。




横浜のお年寄りの施設で踊ってきました2012/03/14 23:58


10日の土曜日、
横浜のお年寄りの施設で踊ってきました。

このところずっと一緒にボランティア活動をしている
天使館のメンバーと、

去年の秋に国分寺の施設で踊った演目を、
少し手直ししての会でした。

 

私たちのカノンは今回も最初の演目でしたが、

おそらく、
クライトとシュライヤーの姿を見るのは初めて

という方ばかりだったのでしょう、

二人で出て行くと、「ふわぁ」と、

歓声のような溜息のようなものが聞こえ、

踊っている間ずっと、
女神さまかと思うくらいの美しい声で、

どなたかが一緒に歌っていらっしゃるのが
聞こえてきました。

とてもあたたかくて、
どこかしらキラキラした感じもあって、

でもくつろいだ雰囲気も流れていて、

いままでに踊ったどの場所とも全く違う、
特別な空気でした。

 

今回は、初公開の、
女性4人による言葉の群舞を作りました。

ワークショップなどでも取り上げたことのある

金子みすずさんの童謡を二つ選んで
組み立てたものですが、

とても可愛らしい感じの作品になって、

喜んでいただけたようなのでほっとしました。

 

全体に、
とてもリラックスして心から楽しんで下さっている感じが

伝わってきましたし、

終わるころには、「ありがとう!ありがとう!」と、

泣きながら言って下さっている方もあって、

冥利に尽きる感じでした。

いろんな症状を抱えていらっしゃる方々で、

普段は
あまり集中して何かを見たりなさらないそうなのですが、

40分のプログラムの間、
皆さんとても一所懸命に観て下さって、

職員の方々が驚かれたそうです。

 

舞台の半分は観客が作る、と聞いたことがありますが、

本当にそうなのだな、と思いました。

素晴らしい時間を頂いて、感謝しています。



   施設は、こどもの国駅からすぐの、とてものどかなところにありました。

3月のワークショップは20日(火・祝)午後です2012/03/17 17:22

日にちが近付いてきましたので、ご案内です。

日時:3月20日(火・祝)午後1時30分から4時30分まで

場所:国分寺市立いずみホール 練習室
参加費:2000円
服装:動きやすい服でどうぞ。長いフレアースカートなどでも可能です。
    汗をかいた時のために、着替えがあると安心です。
    靴は、専用の底の薄いシューズがあるのですが、とりあえず、
    滑りにくくてできるだけ動きやすいもの

    (なるべく底の薄いもの)で。


  オイリュトミーは、

  詩や音楽と、光や風や水や熱と、
  自分のすべてを使って関わろうとする踊りです。
  ふだん使わずに眠らせてしまっている感覚を呼び覚まし、
  私達の身体が大宇宙と呼応する小さな宇宙であることを思い出したとき、
  人は 本当にいきいきと生き始めるのです。

 

まずはじめに、
基礎的なことをしっかり体の感覚でつかんでいただいて、

それから言葉の力を流し、
後半に音楽のオイリュトミーをいたします。

楽しみながらオイリュトミーの基本がしっかり味わっていただけるように、

いろいろ工夫をしています。

 

  

  運動の苦手な方でも大丈夫です
  初めての方も もっと深めたい方も
  お気軽にご連絡ください

  

場所や今後の予定などの詳細については、
 私たちのホームページ 
または 
 あいうえおいりゅとみー でご覧ください。




春分の日、ワークショップでした。2012/03/20 22:27

今日は春分の日。

星占いでいうと、一年のはじめの日です。

 

そんな日にワークショップなんて嬉しいな、

と思いながら会場へ向かったのですが、

予感通り、新しい年の素敵な幕開けとなりました。

 

 

今回は、力の流れを感じていただくことに重点を置いて、

そこからどのようにフォルムへとつながって行くのか、

理屈抜きで体感していただけるように内容を組み立ててみました。

今日は、オイリュトミーが全く初めてという方も二名いらしたのですが、

続けていらっしゃる方も初めての方も

みなさんとても深く入り込んでいただけて、

充実した時間と空間を共有できました。

 

次回、さらに発展した形につなげていくやり方を考えて、

いまからワクワクしています。

 

 

来月のオイリュトミーワークショップは、

4月15日(日)午後1時半から4時半まで。

場所は、いずみホールの会議室です。

ピアノのないお部屋なので、

音楽では、フルートを体験していただこうと思っています。

 

 

 




「3.11」から一年と十日たって2012/03/21 20:02

先日、3月11日を迎えて、

これまでの一年間を振り返って何か書こうと思いました。

自分なりに、この一年をきちんと総括しておきたいと。

 

でも、いろんな思いが渦巻いてしまって、

とてもまとまりませんでした。

なんとかしようと試みましたが、

よろよろと紆余曲折だらけの長い文章をいくつか書いて、

結局みんな消しました。

 

 

先日、ETV特集で、「高村薫さん、震災後を語る」という番組を見ました。

高村薫さんと東北学の赤坂憲雄さんとの対談も良くて、

赤坂さんが復興会議のメンバーでいらっしゃると知り、

なんと心強いことだろうと思いました。

そして、番組の最後のほうで高村さんが語っていらした
言葉に、救われた思いがしました。

あの大きな災害が起こった後、

日本人はみんな、大きく変わってしまったはずだ。

いまそれが語られていないのは、

みんなまだ、混沌とした思いを
言葉にすることができないでいるのだ、と。

高村さんは、阪神大震災のあと、

それを言葉にして語ることができるまでに、
自分は10年かかった、

ともおっしゃっていました。

 

高村さんにしても赤坂さんにしても、

こういう大人がいてくれるのは、ありがたい、
と思いました。

心ある、見識もある、温かな気持ちと熱い思いを持ち、
静かに語る、おとな。

こういうあり方に出会うと、本当にほっとします。

 

 

そして。

一年がたって、とにかくひとつだけ、

いまの自分にもはっきりと言えることを

書いておくことにしました。

 

自分の命は、

なんとたくさんの命にささえられているのだろうか、

ということです。

 

私たちは動物を食べ、植物を食べます。

そればかりではありません。

 

たとえばいま、

福島第一原発の現場で、
さらなる重大な爆発が起こらないように

厳しい被曝をおしてつとめて下さっている方々が
いらっしゃらなければ、

すぐにでも、全てが崩壊してしまうのです。

 

 

それだけは、

全てのことの基盤として、

何があっても、心にとめておこう、と思っています。