希望の灯り―神戸にて2012/01/14 18:53

先日、編集の仕事の打ち合わせで、神戸へ行ってきました。

その日はちょうど、

阪神淡路大震災から17年目の記念日を一週間後に控え、

「希望の灯り」の分灯が始まる日でした。

 

「希望の灯り」は、阪神淡路大震災の犠牲者の追悼と、被災された方々の心の支えになるようにと、被災1010町と全国から寄せられた火を集めて、震災5年後の平成12年から神戸市中央区の「東遊園地」でともされている灯だそうです。その横には、亡くなった方々のお名前が刻まれたモニュメントもありました。

 

神戸の方々は、17年前の震災を、

そっと胸に抱きながら、あるいは語りながら、

ご自分の一部として生きていらっしゃるのだと、改めて実感しました。

それは、

どんなにつらい出来事があっても、人はそこから立ち上がり、生きてゆくのだ

ということであり、

それと同時に、

人は、大きな悲しみを、決して過去にせず、ずっと胸に抱えて行くのだ

ということでもあります。

 

 

神戸で生まれ育ち、被災されて人生が全く変わったとおっしゃる

Mさんにご案内いただいて、私たちも分灯していただきました。

「HANDS」というNPOの方々が世話係をしていらっしゃり、

私がろうそくの火をランタンに移すときにもたもたしていると、

やさしくやり方のアドバイスを下さった方がありましたが、

その方もお子さんを亡くされたとMさんから伺い、胸がつまりました。

 

Mさんも、

「自分は、家族を失ったわけではないから」とおっしゃいますが、

ご自身や奥様のご実家も、

お父さまから継がれた老舗のお店も失って、

「ゼロからの出発」をされた方です。

「『震災があったから今の自分がある』と、肯定的に語りたい」

と、それまでとは全く違う人生を歩んでいらっしゃる姿が、

とても素敵でした。


 

希望の灯り碑文

一・一七 希望の灯り 一九九五年一月一七日午前五時四十六分
阪神淡路大震災

震災が奪ったもの
命 仕事 団欒(だんらん) 街並み 思い出

・・・たった一秒先が予知できない人間の限界・・・

震災が残してくれたもの 
やさしさ 思いやり 絆(きずな) 仲間

この灯りは
奪われた
すべてのいのちと
生き残った
わたしたちの思いを
むすびつなぐ