インビクタス-負けざる者たち-2010/02/21 15:37



インビクタスを、観てきました。素晴らしい映画でした。
この作品は、主演のモーガン・フリーマンが、「いつか彼を演じる」という、マンデラさんとの約束を果たすべく奔走した結果できたのだそうです。はじめは自伝を映画化するつもりだったのに、あまりの量に脚本にすることができず、諦めかけたとき、この脚本に出会ったというのです。それで、何度か一緒に仕事をして信頼関係のあったクリント・イーストウッドに監督を依頼したそうです。
(モーガン・フリーマンのファンとしては、みんながイーストウッドのことばかり褒めるのがちょっぴり不満です。こんな狭量なことを言うとフリーマンには苦笑されそうですが)

最初に聞こえてくる、アフリカ特有の節回しを西洋の音楽と調和させたような歌に、いきなり「やられました!」という気分。とても素敵です。もっと聴いていたかったくらい。途中の、黒人の住む貧民街で選手たちが子どもたちにラグビーを指導するシーンで、ストーリー的にはまったくそんな場面ではないのに号泣しました。私はもともと、子供が絡んでくると涙腺がやたらと弱いのですが、どうも、アフリカや黒人に対しても、何か特別な思いが有るようです。そんなことにも気づきました。

27年間も投獄されていたというマンデラさんの境遇と、やはりモーガン・フリーマンが主演(の二人のうちのひとり)だった素晴らしい映画、「ショーシャンクの空に」が重なりました。どんな境遇におかれても自分を見失わないこと、自分自身の主であり続けること。牢獄の中でもさらにひどい、真っ暗で、まっすぐ横たわることもできないくらい狭い「懲罰室」に入れられていても、頭の中でモーツァルトを流し続けることはできる。そこで、自分の中に何を響かせ続けるかは自分次第だ、という真実が、私には衝撃的でした。

そして、インビクタス。
虐げられた日々から開放されて、今度は自分たちの天下を築こうとする人々。。。
自分を熱狂的に支持し、自分を大統領にまでしてくれた人々の、その自然ともいえる心の有り様に異を唱え、黒人と白人とが共に生きる本当の理想国家を築こうとする指導者の孤独が、胸に迫りました。その孤独に耐える強さは、牢獄での年月にも自分を見失わない強さ、そして自分を虐げた人々を許す強さと、同じ種類のものであるように思いました。

それがいかにむずかしいことであるかは、弱っぴいの自分を見ればすぐに分かります。でも、「どんなに素晴らしい人々も、最初から素晴らしかったわけでもなければ、いつもいつも素晴らしくいられるものでもないよね、きっと!」と自分を慰めつつ、励ましつつ、間違いなくその方向を目指していこう、と思いました。




コメント

_ Ponta ― 2010/02/21 20:40

ショーシャンクの空・・大好きな映画です。
何度観ても勇気をもらいます。
また、観てみようかな。

_ Az ― 2010/02/21 21:29

いいですよね!
インビクタスも、是非!

_ 初歩太 ― 2010/02/22 15:23

いやイーストウッドもいいですよ・・・とりあえず『インビクタス』見に行こうっと。(元シネ研だからなー。)暖かくなったら、映画論議をいたしましょう。

_ Az ― 2010/02/22 22:01

いえいえ、決して、イーストウッド様に不満があるわけではなく。
愛するモーガン・フリーマンさまの魅力に、
もっとみんなが気づいてくれればいいな、と。。。

そうそう、初歩太さんの感想をみて、「虹の女神」を観ましたよ~。
なんだか,大学時代が懐かしいような映画でしたね。

ワタクシなんぞ、とてもとても初歩太様と語れるほど観てはおりません。
でも、またみんなで会いたいですね~。

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